2010年以降、かつて“ワイヤード(Wired)”と呼ばれたインフラネットワークは、大きく進化を遂げる。人間の脳内に埋め込まれた生体電脳機構『Segment』とアップデートで飛躍的な進化を遂げた『Nephilim』の存在が、世界規模で人間の脳を並列化し連結、膨大な演算とシミュレーション実験によりAI技術の自己増殖と自己進化を可能したことで、その結果、加速度的に世界を容易に覆うほどの、巨大で、人間の欲望が犇めくネットワークへと成長していく。その様相を人間の脳細胞形成に例え、いつしか“Synapse”と名を変え呼ばれるようになっていた。
それからさらに時が過ぎー…技術の発展により生活環境も更に大きく様変わりした。脳への生体電脳機構『Nephilim』のインプラントが義務化、誰もが“Synapse”に接続し、肉体の健康状態から個人情報、あらゆる娯楽に至るまでをデータとして蓄積・管理・体験…その恩恵を最大限に享受することができる時代へ。
2045年12月24日。珍しく雪が降ったその日。一人、探偵のまがい物のような仕事をしながら生きる大学生・縁アキトは、迷子猫の捜索依頼を受けて仕事中、路地裏で真白な髪と紅い瞳の少女と出会う。